3月に発表された資料から、成年後見制度の活用状況をみていきます。
成年後見制度は、判断能力の不十分な方々を保護し支援する制度です。成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。
●法定後見制度
本人がひとりで決めることが心配になった場合に、家庭裁判所によって成年後見人等が選ばれる制度です。補助、保佐、後見の3つの種類があります。
補助は判断能力が欠けているのが通常の状態の方が対象、保佐は判断能力が著しく不十分な方が対象、後見は判断能力が不十分な方が対象となります。
●任意後見制度
あらかじめ本人自らが選んだ人(任意後見人)に、代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度です。任意後見契約は、公証人の作成する公正証書によって結ぶものとされています。
以下では、成年後見制度の申立件数の推移などをみていきます。
最高裁判所が2025年3月に発表した資料(※)から、成年後見事件の申立件数の推移をまとめると、表1のとおりです。

2024年の申立件数は41,841件で、前年に続き4万件を超えました。種類別では、後見開始が28,785件で最も多く、保佐開始が9,156件で続いています。
同資料から2024年の後見開始の原因をみると、認知症が61.9%で最も高く、知的障害が9.7%、統合失調症が9.2%で続いています。その他、高次脳機能障害が4.1%、遷延性意識障害が0.6%、その他が14.6%でした。
さらに2024年の成年後見の申立動機をまとめると、表2のとおりです。

預貯金等の管理・解約が90%を超えました。次いで身上保護が73.5%となっています。
ご自身の将来の財産管理等に不安を感じる方は、こうした制度の活用も検討されてはいかがでしょうか。
(※)裁判所「成年後見関係事件の概況」
[参考]
法務省民事局「いざという時のために知って安心 成年後見制度成年後見登記制度」
厚生労働省「成年後見制度の種類」
厚生労働省「任意後見制度とは(手続の流れ、費用)」
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