受給中の個人年金保険と相続税の関係について教えてください。
先月、母が亡くなり、財産関係の資料を整理したところ、受給中の個人年金保険が見つかりました。保険会社に手続きについて相談したところ、誰が受け取るか決めて請求手続きをするように案内されました。相続人は兄と私の2人です。この契約は私が引き継ぐ予定ですが、相続税への影響が心配です。個人年金保険と相続税の関係について教えてください。
- 年金種類:15年保証期間付終身年金/受給中(保証期間 残5年)
- 契約者(保険料負担者):母
- 被保険者:母
- 年金受取人:母
今回のご相談の場合、保証期間の残期間分の年金受給権があり、相続税の対象となります。保険会社や保険の種類によっては、年金に代えて一時金で受給できる場合もあります。受取方法によって取扱いが異なる点にご留意ください。
個人年金保険は、相続発生時の年金受給権の有無により、財産として評価すべきか否かが異なります。
相続発生時、年金受給権がある場合、年金受給権はその種類等に応じて相続税法24条に基づいて評価することとなります。
一方、被保険者が亡くなると同時に年金受給権が消滅する契約は、相続人は何も取得しないため、財産として評価する必要もありません(死亡保険金が支払われる契約を除く)。
今回のように、保証期間付終身年金で保証期間中に被保険者が亡くなったときは、保証期間の残期間分の年金受給権があります。そのため、財産として評価する必要があります。評価した年金受給権は、他の相続財産とあわせて相続税の対象となります。
また、保険会社や保険の種類によっては、年金に代えて一時金で受給できる場合もあります。引き継いだ相続人が年金で受け取るか一時金で受け取るか、受取方法によっても異なります。
(1)残期間分の年金を相続人が引き継いで年金形式で受け取る場合
年金受給権は、「みなし相続財産」として相続税の対象となります。また、年金受給権の評価額は、@ABいずれか多い金額となります。
- @ 解約返戻金の金額
- A 年金に代えて一時金を受け取ることができる場合には当該一時金の金額
- B 給付を受けるべき金額の1年間当たりの平均額×残存期間に応ずる予定利率の複利年金現価率によって算出される金額
(2)年金に代えて残期間分を相続人が一時金で受け取る場合
受け取る一時金は、「みなし相続財産」として相続税の対象になります。
なお、残期間分を年金で受け取る場合、その年金は受け取る人の雑所得として所得税、住民税の対象になります。ただし、雑所得を計算する際は、相続税の課税対象となった部分と課税対象となっていない部分に振り分けられ、相続税との二重課税がないよう、相続税の課税対象となっていない部分のみが所得税、住民税の課税対象になります。1年目は非課税です。
相続税は、財産総額によってかかる税率が異なります。また、相続後に年金形式で受け取るときにかかる税金は、受け取る人の他の所得等の状況によって負担が異なります。
個人年金保険の相続について受取方法等でお悩みの場合には、当事務所までお気軽にご相談ください。
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